AGA治療を開始して1年が経過すると、多くの場合、治療効果は安定期に入ります。この時期には、治療開始前に比べて明らかな改善を実感している方が多いでしょう。抜け毛は減少し、髪の毛の量や太さもある程度回復し、治療効果がプラトー(安定状態)に達している可能性があります。この安定期において重要なのは、「治療を継続すること」です。AGAは進行性の脱毛症であり、治療を中断してしまうと、再びDHT(ジヒドロテストステロン)の影響を受けてヘアサイクルが乱れ始め、せっかく改善した状態が元に戻ってしまう可能性が高いのです。治療によって得られた状態を維持するためには、医師の指示に従って薬の服用や塗布を続けることが原則となります。ただし、効果が十分に安定していると医師が判断した場合には、治療方針の見直しが検討されることもあります。例えば、内服薬と外用薬を併用していた場合、どちらか一方に切り替えたり、内服薬の用量を減らしたり(減薬)、あるいは服用頻度を調整したりといった可能性です。これは、長期的な副作用のリスクを低減したり、患者さんの経済的な負担を軽減したりする目的で行われることがあります。しかし、これらの変更は必ず医師の判断と指示のもとで行われるべきであり、自己判断での減薬や中断は絶対に避けるべきです。また、1年以上治療を続けていても、効果に満足できていない場合や、さらなる改善を望む場合には、改めて医師と相談し、今後の選択肢について話し合うことが重要です。他の薬剤への変更、自毛植毛などの外科的治療の検討、あるいは補助的な治療法(メソセラピーなど)の追加など、様々な可能性が考えられます。AGA治療は、単に髪の毛を生やすだけでなく、その状態を維持していくという長期的な視点が求められます。1年という節目を迎え、これまでの経過を振り返り、現状の効果を確認した上で、今後の治療計画について医師としっかりとコミュニケーションを取り、納得のいく形で治療を継続していくことが大切です。
8月22