AGA治療には、フィナステリド内服薬とミノキシジル外用薬の併用が標準的な治療法の一つとされていますが、あえて「フィナステリドのみ」を選択するケースも少なくありません。その背景には、いくつかの理由やメリットが考えられます。まず、治療のシンプルさと手軽さが挙げられます。フィナステリドは通常1日1回の服用で済むため、毎日決まった時間に塗布する必要があるミノキシジル外用薬と比較して、治療継続の負担が少ないと感じる方がいます。忙しい生活を送る方や、煩雑なケアを避けたい方にとっては、内服薬のみという手軽さは大きなメリットとなり得ます。次に、コスト面での考慮です。フィナステリドとミノキシジルを併用する場合、当然ながら両方の薬剤費用がかかります。フィナステリド単剤であれば、治療費を抑えることが可能です。特に長期的な治療となるAGAにおいては、経済的な負担は無視できない要素であり、コストを重視して単剤治療を選択する方もいます。また、副作用のリスクに対する懸念も理由の一つとなり得ます。フィナステリド、ミノキシジルともに副作用の可能性はありますが、使用する薬剤の種類が少なければ、理論的には副作用のリスクも限定されると考えられます。特にミノキシジル外用薬による頭皮のかぶれや、内服した場合の動悸・むくみといった副作用を避けたいと考える場合に、まずはフィナステリドのみで様子を見たいという選択がなされることがあります。さらに、AGAの進行度が比較的軽度な場合や、主な目的が「これ以上の進行を防ぐこと(現状維持)」である場合にも、フィナステリド単剤治療が選択されることがあります。特に20代や30代前半でAGAを発症し始めた初期段階であれば、フィナステリドのみでも進行抑制効果を十分に得られる可能性があるため、最初のステップとして単剤治療から開始することが多いです。これらの理由から、個々の状況や価値観、治療目標に応じて、フィナステリド単剤治療は有効な選択肢となり得るのです。
7月15