AGA治療は、効果が現れるまでに時間がかかり、その変化も緩やかであることが多いため、日々のわずかな変化に気づきにくく、「本当に効いているのだろうか？」と不安に感じてしまうことがあります。こうした不安を解消し、治療のモチベーションを維持するためにも、治療経過を客観的に記録しておくことは非常に有効です。では、具体的にどのように記録し、それがなぜ重要なのでしょうか。最も簡単で効果的な記録方法の一つが、定期的な写真撮影です。スマートフォンのカメラなどを使い、毎回同じ場所、同じ明るさ、同じ角度から、頭頂部、生え際（正面、左右）、後頭部などを撮影します。治療開始前、治療開始後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年といった節目や、あるいは毎月1回など、定期的に撮影を続けることで、長期的な変化を視覚的に比較することができます。自分では気づきにくい産毛の発生や、髪の毛の密度の変化などが、写真を見比べることで明確になることがあります。これにより、「確かに改善している」という実感を得られ、治療継続の意欲につながります。ただし、毎日鏡で細かくチェックしすぎたり、抜け毛の本数を神経質に数えたりすることは、かえってストレスになる可能性があるため、あまりお勧めできません。写真撮影のような、ある程度期間を空けた客観的な記録の方が、精神衛生上も良いでしょう。また、撮影した写真や、治療中に感じたこと（抜け毛の増減、髪質の変化、副作用の有無など）を記録したメモは、医師の診察時に非常に役立ちます。口頭での説明だけでは伝わりにくい変化も、写真を見せながら話すことで、医師はより正確に状況を把握することができます。これにより、医師は治療効果を客観的に評価しやすくなり、今後の治療方針を決定する上での重要な判断材料となります。客観的な記録は、単なる自己満足のためだけでなく、医師との円滑なコミュニケーションを促進し、より適切な治療を受けるためにも役立つのです。治療経過の記録は、面倒に感じるかもしれませんが、長期にわたるAGA治療を成功させるための、隠れた重要なプロセスと言えるでしょう。