フィナステリドのみを用いたAGA治療は、抜け毛の抑制や現状維持を目的とする場合に有効な手段ですが、その効果には限界があることも理解しておく必要があります。最も重要な限界点は、「顕著な発毛効果」が期待しにくいという点です。フィナステリドは、AGAの原因であるDHTの生成を抑制し、ヘアサイクルの乱れを改善することで抜け毛を減らし、既存の毛髪を太く長く成長させる効果は期待できます。しかし、毛髪を作り出す毛包そのものがすでに消失してしまっている場合や、AGAがかなり進行してしまっている場合には、フィナステリド単独で失われた毛髪を再生させることは困難です。毛量を増やしたい、明らかに薄くなった部分を改善したいといった、より積極的な発毛効果を望む場合には、フィナステリド単独では物足りなさを感じる可能性が高いでしょう。このようなケースでは、発毛促進作用を持つミノキシジルとの併用が一般的に推奨されます。また、効果の発現には時間がかかり、個人差が大きいという点も限界の一つです。服用を開始してもすぐに効果が現れるわけではなく、最低でも3ヶ月から6ヶ月、場合によってはそれ以上の継続が必要です。そして、すべての人に同じように効果が現れるわけではなく、中にはフィナステリド単独では十分な効果が得られない方も存在します。さらに、フィナステリドの効果は服用を継続している期間に限られます。服用を中止すると、抑制されていたDHTの生成が再び始まり、AGAは再び進行し始めます。つまり、効果を維持するためには、長期的に服用を続ける必要があるのです。これは経済的な負担や、長期服用に対する心理的なハードルにもなり得ます。副作用のリスクもゼロではありません。頻度は低いものの、性機能に関する副作用(性欲減退、勃起機能不全など)や、抑うつ気分、肝機能障害などが報告されています。単剤治療であっても、これらのリスクは存在することを認識しておく必要があります。これらの限界点を理解した上で、医師と相談し、自身の治療目標やライフスタイルに合った治療法を選択することが重要です。
7月14