学生時代から髪が細く、量も少なめなのがコンプレックスでした。社会人になって数年経つと、以前にも増して頭頂部の地肌が透けて見えるようになり、「若年性のAGAではないか」と疑い始めました。インターネットでAGAクリニックの評判を調べ、思い切って受診。しかし、医師の診断は「AGAの所見はありません。どちらかというと、全体的に髪が細い、びまん性の脱毛に近いかもしれませんね」というものでした。AGAではないと言われたことには少しホッとしたものの、正直、手放しでは喜べませんでした。なぜなら、「びまん性の脱毛」と言われても、その明確な原因までは特定されなかったからです。医師からは、「ストレスやホルモンバランス、栄養不足など、様々な要因が考えられます。まずは生活習慣を見直してみては？」というアドバイスは受けましたが、具体的な治療法が示されたわけではありませんでした。クリニックを出た後も、心の中にはモヤモヤとしたものが残りました。「AGAじゃないのは分かったけど、じゃあどうすればいいんだろう？」「生活習慣を見直すだけで、本当に改善するのだろうか？」という不安です。原因がはっきりしないため、対策も手探り状態。とりあえず、睡眠時間を確保し、バランスの良い食事を心がけ、市販の育毛剤を試してみることにしました。数ヶ月続けていますが、今のところ劇的な変化はありません。相変わらず頭頂部は気になるままです。このまま様子を見るべきなのか、それとも別の病院でセカンドオピニオンを求めるべきなのか、正直迷っています。皮膚科を受診して、血液検査などで他に原因がないか調べてもらうことも考えています。「AGAじゃない」という診断は一つの区切りでしたが、私にとっては新たな悩みの始まりでもありました。原因が分からないことほど、不安なことはありません。今は、焦らず情報収集しながら、自分に合った次の一手を探している最中です。

AGA（男性型脱毛症）の治療法として、内服薬や外用薬と並んで注目されているのが「AGAメソセラピー」です。これは、薄毛が気になる頭皮に、発毛や育毛に有効とされる成分を直接注入する治療法の総称です。注射器や特殊な機器を用いて、髪の毛の成長に重要な役割を果たす毛母細胞や毛乳頭細胞が存在する頭皮の層に、有効成分をダイレクトに届けることを目的としています。内服薬が体全体に作用するのに対し、メソセラピーは気になる部分に集中的にアプローチできるのが特徴です。また、外用薬のように頭皮表面に塗布するだけでなく、より深部に成分を浸透させることが期待されます。注入される成分はクリニックによって様々ですが、一般的には、髪の成長を促す「成長因子（グロースファクター）」、血行を促進する「ミノキシジル」、髪の毛の栄養となる「ビタミン」や「ミネラル」、「アミノ酸」などが、患者さんの状態に合わせてブレンドされることが多いようです。AGAメソセラピーは、単独で行われることもありますが、多くの場合、フィナステリドやデュタステリドといった内服薬やミノキシジル外用薬などの基本的なAGA治療と併用されます。既存の治療法の効果を高めたり、より早く効果を実感したりすることを目的として、補助的な治療として位置づけられることが一般的です。頭皮に直接働きかけることで、毛髪の成長をサポートし、髪質の改善や発毛促進効果が期待される治療法、それがAGAメソセラピーなのです。