AGA治療で効果を実感し、髪の状態が改善されたとしても、そこで安心して治療をやめてしまうと、多くの場合、残念ながら元の薄毛の状態に戻ってしまいます。これは、現在のAGA治療が、病気の根本原因を取り除く「根治療法」ではなく、症状の進行を抑えたり、改善したりする「対症療法」であるためです。この「治療を継続しなければ効果が維持できない」という点が、AGA治療の大きなデメリットであり、多くの患者さんにとって精神的、時間的、経済的な負担となっています。AGA治療薬、例えばフィナステリドやデュタステリドは、薄毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することで効果を発揮します。ミノキシジルは、頭皮の血流を改善し毛母細胞を活性化させます。これらの薬の効果は、服用や塗布を続けている間しか持続しません。治療を中断すれば、薬による抑制や促進効果がなくなり、体は再びAGAが進行しやすい状態に戻ってしまいます。ヘアサイクルは再び乱れ始め、髪の毛は細く弱々しくなり、抜け毛が増え、時間をかけて元の薄毛の状態へと逆戻りしていくのです。この「やめたら元に戻る」という事実は、治療を続けるモチベーションを維持する上で大きな課題となります。効果が出ている間は良いものの、「いつまでこれを続けなければならないのか」という終わりが見えない感覚は、精神的なプレッシャーになり得ます。また、毎日の薬の服用や塗布は、手間がかかり、生活の一部として習慣化する必要があります。忙しい日々の中で、つい忘れてしまったり、面倒に感じてしまったりすることもあるでしょう。さらに、前述の通り、治療の継続は経済的な負担も伴います。治療効果を維持するために、半永久的に費用を払い続ける必要があるかもしれないという現実は、大きなデメリットです。治療を開始する際には、この継続の必要性を十分に理解し、長期的な視点で治療と向き合う覚悟が必要です。医師と相談しながら、自分にとって無理なく続けられる治療計画を立てることが、このデメリットと上手に付き合っていくための鍵となります。
5月16