AGA治療を開始して二年が経過したにもかかわらず、期待していたような効果が全く見られない、あるいは治療開始前とほとんど変化がない…そうした状況に直面している方も、残念ながらいるかもしれません。二年という期間は、一般的に治療効果を判断する上で十分な期間と考えられるため、この時点で効果がない場合、その原因を探り、今後の対策を真剣に検討する必要があります。まず考えられる原因として、個々の体質や遺伝的要因により、現在使用している治療薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)に対する反応性が極めて低い、あるいは全く反応しないという可能性です。薬が体内でうまく作用していない、あるいはAGAのメカニズムが一般的なタイプと異なる、といったケースも考えられます。次に、AGAの進行度が非常に高い場合です。治療開始時点で既に毛包のミニチュア化が著しく進んでおり、毛髪を作り出す能力がほとんど失われている状態だと、薬物治療だけでは発毛を促すのが困難なことがあります。また、診断がそもそもAGAではなかった、という可能性も稀にですが考えられます。円形脱毛症や他の皮膚疾患など、別の原因による脱毛であれば、AGA治療薬は効果を発揮しません。あるいは、AGAと他の脱毛症を併発しているケースもあります。さらに、自己判断で薬の服用や塗布を不規則に行っていたり、生活習慣(極度の睡眠不足、栄養失調、過剰なストレスなど)が著しく乱れていたりする場合も、治療効果を妨げる要因となり得ます。二年経っても効果が見られない場合、まず行うべきは、治療を受けているクリニックの医師に正直に現状を伝え、徹底的に原因を探ることです。これまでの治療内容、頭皮の状態、生活習慣などを改めて詳細に評価してもらいましょう。その上で、今後の対策を検討します。考えられる選択肢としては、まず薬剤の変更や追加です。例えば、フィナステリドからより強力とされるデュタステリドへ変更する、内服薬と外用薬の濃度や組み合わせを見直す、といった方法です。それでも効果が期待できないと判断される場合、あるいはより積極的な改善を望む場合には、自毛植毛が有力な選択肢となります。
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専門医が解説!ミノキシジルの真の効果と限界
本日は、薄毛治療の分野で広く知られるミノキシジルについて、その効果と限界、そして正しい理解について、毛髪専門医である山田先生(仮名)にお話を伺います。山田先生、よろしくお願いいたします。「よろしくお願いいたします。」早速ですが、ミノキシジルはどのようなメカニズムで発毛効果をもたらすのでしょうか。「はい。ミノキシジルはもともと高血圧の治療薬として開発されましたが、その副作用として多毛が見られたことから、発毛剤としての研究が進みました。主な作用としては、頭皮の毛細血管を拡張させて血流を改善し、毛母細胞への栄養供給を促す効果、そして毛母細胞自体に直接働きかけて細胞分裂を活性化させ、毛髪の成長期を延長させる効果が考えられています。これにより、細く短い毛髪が太く長く成長しやすくなり、全体として毛髪のボリュームアップが期待できるのです。」ミノキシジルを使用すれば、誰でも効果を実感できるのでしょうか。「残念ながら、そうとは限りません。ミノキシジルの効果の現れ方には個人差が大きく、脱毛の進行度合い、脱毛症の種類、年齢、体質、生活習慣など、様々な要因が影響します。一般的に、壮年性脱毛症(AGA)の初期から中期の方には効果が出やすい傾向がありますが、脱毛がかなり進行してしまっている場合や、円形脱毛症など他の原因による脱毛症には、効果が限定的であったり、見られなかったりすることもあります。また、効果を実感できるまでには、通常4ヶ月から6ヶ月程度の継続的な使用が必要です。」ミノキシジルを使用する上での注意点や、副作用について教えてください。「外用薬の場合、主な副作用としては、塗布部位のかゆみ、発疹、フケ、かぶれといった皮膚症状が報告されています。また、まれに動悸やめまい、頭痛などが起こることもあります。使用開始初期に一時的に抜け毛が増える『初期脱毛』が見られることもありますが、これは新しい毛髪が古い毛髪を押し出すための正常な反応であることが多いです。ただし、症状が強い場合や長引く場合は、医師に相談することが重要です。そして何よりも大切なのは、自己判断で使用せず、必ず医師や薬剤師の指導のもとで正しく使用することです」。