ランニングが髪の健康に多くのメリットをもたらす一方で、その方法を間違えると、かえって薄毛を助長してしまう危険性があることをご存知でしょうか。良かれと思って始めた習慣が、実は髪をいじめる結果になっていた、という悲劇を避けるために、薄毛リスクを高める「NGランニング習慣」をしっかりと理解しておきましょう。最も注意すべきなのが、「オーバートレーニング(走りすぎ)」です。早く結果を出したい一心で、毎日長距離を走ったり、自分の限界を超えるような高強度なトレーニングを続けたりすると、体は回復が追いつかず、慢性的なストレス状態に陥ります。この時、体内ではストレスホルモンである「コルチゾール」が過剰に分泌されます。コルチゾールには血管を収縮させる働きがあるため、頭皮の血行が悪化し、毛根に栄養が届きにくくなってしまいます。また、激しい運動は、細胞を傷つけ老化を促進する「活性酸素」を大量に発生させます。適度な運動であれば、体の抗酸化作用がこれを処理できますが、過度な運動は処理能力を超え、頭皮の細胞までがダメージを受けてしまうのです。「頑張りすぎ」は、髪にとっては逆効果でしかありません。次に、見落としがちなのが「紫外線対策の欠如」です。帽子をかぶらずに、特に日差しの強い時間帯に走る習慣は、自殺行為に近いと言っても過言ではありません。紫外線(UV-B)は、頭皮に直接降り注ぎ、日焼けによる炎症を引き起こします。さらに、より波長の長いUV-Aは、皮膚の深層部まで到達し、髪を作り出す毛母細胞にダメージを与え、その働きを弱めてしまいます。頭皮の老化は、薄毛や白髪の直接的な原因です。ランニング時には、必ず通気性の良いキャップを着用する習慣をつけましょう。最後に、「栄養補給の軽視」です。走って汗をかくことで、体からは水分だけでなく、髪の成長に必要なミネラル(特に亜鉛)も失われます。運動するだけで、食事内容が以前と変わらない、あるいはダイエットのために食事量を減らしているような場合、体は深刻な栄養不足に陥ります。運動で消費したエネルギーと栄養素は、バランスの取れた食事でしっかりと補給することが、健康な髪を育むための大前提です。