今回は、数多くの栄養指導を行っている管理栄養士の方に、髪の健康に不可欠な「亜鉛」を、食事から効率よく摂取するための具体的な方法についてお話を伺いました。「亜鉛は、意識しないとすぐに不足してしまうミネラルの一つです。特に、加工食品やインスタント食品に頼りがちな現代の食生活では、慢性的な亜鉛不足に陥っている方が少なくありません」と先生は指摘します。亜鉛を豊富に含む代表的な食材は、まず「牡蠣」です。その含有量は全食品の中でもトップクラスで、「海のミルク」と呼ばれる所以の一つでもあります。その他、「豚レバー」や「牛肉(特に赤身)」、「うなぎ」などにも多く含まれています。植物性食品では、「納豆」や「豆腐」などの大豆製品、「ごま」、「ナッツ類」にも含まれていますが、動物性食品に比べて含有量が少なく、また吸収率も低い傾向にあります。ここで重要になるのが、亜鉛の吸収を助ける栄養素との「食べ合わせ」です。亜鉛の吸収率を高めてくれる代表的なパートナーが、「ビタミンC」と「クエン酸」です。ビタミンCは、ピーマンやブロッコリー、柑橘類に、クエン酸はレモンやお酢に多く含まれています。例えば、牛肉のステーキにレモンを搾ったり、カキフライにレモンを添えたりするのは、味の面だけでなく、栄養学的にも非常に理にかなった食べ方なのです。逆に、亜鉛の吸収を妨げてしまう成分も存在します。その代表が、加工食品に多く含まれる「リン酸塩」や、穀物や豆類の外皮に含まれる「フィチン酸」、そしてコーヒーや緑茶に含まれる「タンニン」などです。これらの成分を過剰に摂取すると、亜鉛が体外に排出されやすくなってしまいます。完璧に避けることは難しいですが、インスタント食品を控えたり、食事中のお茶を水に変えたりするだけでも、亜鉛の吸収効率は変わってきます。どうしても食事だけで補うのが難しい場合は、サプリメントの活用も有効ですが、過剰摂取は銅の吸収を阻害するなどの副作用もあるため、必ず推奨量を守ることが大切です。まずは日々の食事を見直し、賢い食べ合わせを意識することから始めてみましょう。
管理栄養士が教える亜鉛の上手な摂り方